私の空気がうまい家暮らし

SAiN Anniversary Essay by Owner

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空気がうまい家◉日々をつむぎ 想いをつづる #1

 ふらっと立ち寄った書店で目に留まった本の表紙を見ると、開放的なリビングで楽しそうに団欒する家族。
 あまりにも素敵で、自宅なのか、カフェなのか…?
 目を疑う程でした。
 小さな頃から、マイホームを持ちたいと願ってきた思いが再燃した瞬間でした。
 「いいなぁ、こんな素敵な家でちょっと優雅に暮らしてみたい」
 きっと、あなたも同じような感覚を味わったことがあると思います。

 けれど、現実の住まいは小さなマンション。
 「こんな都会では、マンションであっても自分の持ち家がある事は幸せなことなんだ」
 何度も自分に言い聞かせながら、無理矢理、憧れの家の事は忘れようとすることくらいしかできませんでした。
 唯一、私にできることと言えば、物を極力置かずに整理整頓も心がけ、少しでも広々とした雰囲気を出すくらいのことでした。
 けれど、狭いものは狭いのです。

 もう一つの問題は、マンションには「地面がない」ということです。
 大きな畑とまでは言わなくても、土の感触を楽しみながら、子どもには成長して欲しいという願いがありました。
 小学校の教諭をしていましたから、自然に目をやり、地面を触りながら植物が育つ感覚を肌で感じながら育った子どもと、そうではない子ども…ここには、大きな差が生じてくることは肌で感じていたのです。
 小学生の段階でも違いは歴然でしたから、大人へと成長していく過程を想像すると、自分の息子には絶対に地面を触って欲しいという願いはあったのです。

 だから、小さな家でもいいし、一戸建てが理想だけどなぁ…
 そんな思いは尽きなかったのですが、京都市付近という地域は、とにかく地価が高い。
 それに、マンションのローンも残っているということは、私にできることはこんな理想を追うのはやめて、ただ、今の生活をこなしていくしかないと思っていたのです。

 そんな我が家に、次男が誕生しました。
 ところが、次男は誕生とともに強烈なアトピーを発症。
 しかも、原因はマンションに漂う化学物質。
 中古マンションを購入するにあたり、クロスやフローリングを張り替えるといったリフォームをしたことが裏目に出たのです。
 次男は、マンションにいると痒がり、皮膚もただれてしまう程でした。

 「もう、ここでは暮らせない」

 突然訪れた転機。
 急遽、化学物質の揮発が終わったと思われるボロボロの賃貸物件に引っ越し、無添加住宅・自然素材の家などを手掛ける工務店巡りがスタートしたのです。

 中古マンションを購入し、リフォームを行ったばかりの家に住む家族に資金が残っているはずもありません。
 それでも、住む家が無いとなると必死です。
 安心して生活できる建材の家を何としても手に入れなくてはならない。
 週末は、ハウスメーカー・工務店を巡り、平日の夜は、建材の勉強に工務店の検索、問い合わせなどに時間を費やしたのです。

 その工務店巡りの中で、(株)ハウス工房さんと出会ったのです。
 我が家にとって、初めて安心できそうな建材で、現実味のある価格を初めて提示してくれた工務店でした。
 建材については自分で学んでいたものの、ここで、新建材の問題点をさらに教わったのです。

 何より、家づくりにおいて、絶対に失敗できないことを十分に理解していただき、音響熟成木材や幻の漆喰が確かなのか、これまで施工されたお客様の家を案内していただき、次男の反応を見るというテストまで何度もご協力していただいたのです。
 テストの結果はもちろん大切ですが、何より、ご協力してくださった方々も、自信満々で迎えてくださったことが、建材の良さを象徴している気がしました。

 この音響熟成木材と幻の漆喰の家に暮らしている方、そして(株)ハウス工房に関わる方々に不思議な共通点があったのです。
 それは、「自然を眺めることの大切さ」を知っておられたということ。
 木はしなり、油分があり、生きたものは変化していくことなど…。 
 住まいの大切さだけではなく、自然の一部である人として大切な視点に気付かされたような出会いとなったのです。

 息子たちには、土を触りながら育って欲しい…なんとなく思っていたことと、気付かされたことが繋がった瞬間でもあるのです。

(#2へつづきます)

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