おもやのよもやま話 その三

木のいのちを人とむすぶ人

其一会 大工がほれこんだ音響熟成木材

宮崎県宮崎市で
カイケンコーポレーションの健康自然建材を
使った家づくりを行われている
「建築工房 結」さん。
その代表であり、現役の大工棟梁でもある
山下洋さんをお訪ねして、
家づくりのこと、お住まいのこと、
ご家族の暮らしのことなどを
お聞きしてきました。

今回は、木材を知り尽くした大工として、
住まいの命である音響熟成木材の
構造材などのお話しをお届けいたします。

家づくりの現場にて、音響熟成木材の構造材を丁寧に、黙々と拭き上げる山下さん。
木の命へ感謝する思いが、その姿から伝わってきます。

見た目、香り、手ざわりが全く違う、音響熟成木材にひとめぼれ

「はじめて音響熟成木材と幻の漆喰を使った現場で仕事をしたとき、
衝撃を受けました。
新建材の家のツンとする嫌な臭いがしないし、苦しくもない。
本当に気持ちが良かったんです」

宮崎でカイケンコーポレーションの健康自然建材を使った家づくりを行う
建築工房結の代表であり、大工でもある山下さんは、そう語ります。

「一般的に使われている乾燥材(※KD材など)と全然違って、
しっとりとした手ざわりで、艶も香りも素晴らしい音響熟成木材に
ほれこんでしまって、これしかない!と思いました」

阪神淡路大震災をテレビで目にして「復興に役立ちたい」と一念発起し、
大工の道に進んで15年。
山下さんにとって一大転機となる出会いでした。

阪神淡路大震災は、
山下さんが19歳のとき。
倒壊した建物、傷ついた人々の姿に
心を動かされた山下さんは、
それまでの仕事を辞め、
地元の大工さんに弟子入りされました。

「当時の自分は何もできなかったので、
職人になって技術を身に付けてから
復興の現場に行こうと思ったんです。
実際は、そんなに簡単に
一人前になれるはずもなく、
10年近くかかってしまいました。
残念ながら、復興のお手伝いには
間に合いませんでした」

基礎工事を学び、職人としての技術を習得し、棟梁としての差配と度量を身につける・・・
一人前の大工となるための修業を積み重ねた山下さんは、2010年に独立して「建築工房 結」を設立。

山下さんの家づくりは、「墨付け」や「手刻み」など、伝統的な手仕事をできる限り大切にされています。
ノコギリやノミを使うときの感触など、大工だからこそ実感する音響熟成木材の品質があるそうです。

一般的な乾燥材と違い、木の命が生きている音響熟成木材は、その感触がまったく違うとのこと。
実際に音響熟成木材のカンナ屑はとてもなめらかで、なかなか切れません。

大工の自分がシックハウスに・・・

実は、大工の修業をはじめて10年ほどが経ち、
新建材を使う現場がほとんどになっていた頃、
山下さんはシックハウス症候群の症状に悩まされるようになっていました。

「現場で新建材を切ったりすると、細かい切りくずや粉塵などが飛び散って、
皮膚についたり、吸引したりしてしまうんです。
だんだん湿疹がひどく出るようになってきて、咳や鼻水もひどくなって・・・。
とにかく新建材の現場に行くのがつらかったです。
大工の自分が身をもって経験したからこそ、
音響熟成木材と幻の漆喰を使った本物の家づくりを伝えたいんです」

ご自身でシックハウス症候群の
つらい経験をされた山下さんは、
「シックハウス診断士」の免許を取得。

「シックハウスで悩んでいる方、
こどもたちを助けたいんです」
と、本物の健康自然建材を使った
家づくりに力を尽くされています。

家づくりについて
山下さんが伝えたいことが、
もうひとつあります。

それは、「構造材の大切さ」です。

地震に備える時代だからこそ、構造材の大切さを知ってほしい

山下さんが他社の棟上げの現場にお手伝いに行かれたときのこと。

家を支える骨組みとなる梁(はり)や桁(けた)などの構造材が、
木槌で叩いたりして組み立てられていたときでした。

「幅が36センチ、長さが4メートルもある大きな桁が、
木槌で叩いた衝撃に耐え切れずにバキッと割れてしまったんです。
桁は梁を受ける特に大事な構造材なのに・・・。
KD材は木が死んでしまっているんですよ。

いま主流の家づくりでは、完成すると構造材がパネルなどで隠れて
見えなくなってしまいます。
構造材は重要ですから、家づくりのときには気にかけて頂きたいですね」

住まいの価値と寿命を決めると言っても過言ではない「構造材」。
山下さんは、「ぜひ、見学会で実物にさわって、感触を確かめてほしいですね」とおっしゃいます。

木のいのちを受け継ぎ、人のいのちを守る家づくりを

阪神淡路大震災を機に大工を志した山下さんは、
家の骨格となる構造材には人一倍のこだわりがあり、
本物の家づくりに真摯に向き合われています。

「音響熟成木材は木の命が生きているから、しなやかで強いんです。
この構造材なら、100年位はもつと思いますよ。
大工になって23年ですが、こんな木材はどこにもないですね。

音響熟成木材と幻の漆喰は、
私が本当に求めていた家づくりを実現してくれる素材です。
本物の素材を使っていると、現場も気持ちがいいし、
心もすがすがしくて気持ちがいいですよ。

私は現役の大工です。
作り手の顔が見える小さな工務店だからできる、
お一人お一人の命を守っていく家づくりを続けていきたいと思っています」

「今は、年に2.5棟を作るのが限界なんですよ」と語る山下さん。
正直で丁寧な建築工房 結さんの家づくりには、時間と手間がかかります。

山下さんの奥様のかおるさんは、事務作業をつとめるとともに、
ご自宅兼事務所で料理教室などを開催されています。

「建築工房 結」さんの家づくりは、
楽しく健やかな「暮らしの提案」でもあるのです。

次回は、山下さんのご自宅兼事務所におじゃまして、
お住まいのこと、暮らしのことなどをお届けしたいと思います。

<其二会につづきます>

※KD材[キルンドライ材(人工乾燥材)]とは
乾燥釜(キルン)などで人工的に短期間に高温で乾燥させ、
含水率を下げた木材。狂いが少ないが、大切な木の油分が失われる。
その他、天日干しで自然に乾燥させる「AD材(エアドライ材)」、
伐採後の生木で含水率が高い「グリーン材」などがある。
page top

おもやの会

  • おもやのよもやま話
  • おもやの食卓
  • おもやのおもい
  • おもやの会 Facebook
  • eSAiN SAiN お申込みはこちら