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SAiN

2023/09/29

【施主様からの特別寄稿:Featuring SAiN78】誰もがなぜか大好きなあの金属音 〜「なぜ」が分からないから面白い〜

「たまらなく暑いですね。」

「今年は、畑の野菜も心配やわ。」

こんな会話が、何度も繰り返され、ニュースでも全国各地の暑さや熱中症対策が常に話題となっていた夏が終わろうとしています。

もちろん、暑さが厳しいのは大変なことですが、「暑い」と言っていても仕方がないので、少しでもプラスに考えられないのかなぁ…なんて思ったものです。少し視点を変えると、「暑い」ということは、ふんだんにエネルギーが降り注いでいる状態。だから、暑さの恩恵を今のうちに保存できれば、楽しいのではないか?
そんなことを考えて、せっせと椎茸を干す日々を過ごしていました。

干し椎茸の賞味期限はおよそ一年ですから、まさに「暑さのエネルギー」を冬まで貯めることができる優れものだと思います。
こんな発見に喜んだ夏でしたが、実は、こんな話よりも我が家に遊びに来られた方が注目し、興味をもたれたのが「中華鍋」だったのです。




なぜか、誰もが大好きな中華鍋


コンコンコン・カンカン!

中華料理店に行くとこんな音が響き、厨房の中が見えるお店だと、思わず見入ってしまいます。
こんな習慣があるのは、私だけではないようです。
YouTubeを見ても、中華料理店の厨房の様子が撮影された動画はたくさんあり、どの動画もたくさん再生されています。

・職人さんの素早い動き。
・中華鍋一つで、炒め物・煮物・揚げ物など何でもできる。
・時々見られる火柱。
・ササラ(中華鍋を洗う竹のブラシ)で洗う豪快さ。

こうしたものが私たちを魅了させるのでしょう。
中華鍋の歴史は、約二千年もあり、私たち人類と長いお付き合いをしてきたために、多くの人が関心を寄せてしまうという本能の様なものをもっているのかもしれません。


中華鍋は格好いいけれど憧れの存在


あなたも、これまでに「一度でいいから中華鍋で炒飯を作ってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
私もこれまでに何度かそう思ったことがありますが、一般家庭のガスコンロでは、使えないイメージがあり、購入の検討さえしたことがありませんでした。

ところが、家庭用の五徳(ごとく)に重ねて置くだけで、中華鍋が置ける五徳があることを発見し、ついに中華鍋を購入しました。

すでに家庭で中華鍋を使い続けている知人も、「いい選択だ。キッチンに立つのが楽しくなるし、使うほど良くなる感じがたまらないぞ。」
なんて言うものですから、もう我慢できない状態になったのです。




全然、イメージ通りに鍋が振れない!


中華鍋が、我が家にやってきたら、早速、シーズニング(中華鍋を空焼きして油を馴染ませる作業)を丁寧にして、炒飯に挑戦してみたのですが、綺麗にご飯が返ってきません。
ご飯は、コンロの周りに飛び散る上に、パラパラとは程遠い状態です。

これが、もう、悔しくて、悔しくて。

タオルで練習したり、塩を焼いてみたりしましたが、全く上手くいきません。
「物理学による最高のチャーハンの作り方」なんていう論文も読みましたが、上手になる気配が感じられない日々が続きました。
それでも、「練習をすれば、必ず上手くいく日がやってくるはずだ」
何度も自分に言い聞かせながら、とにかく調理は何でも中華鍋を使うことにしたのです。

不思議なもので、二ヶ月くらい経つと、職人さんほど早く鍋を振ることはできませんが、炒飯のご飯をこぼしてしまうことは無くなりました。
もちろん、野菜炒めなどを作っても、うまく返すことができる様になってきました。

ただ、困るのは、「何で少し上手になったのか?」と聞かれても、答えることができないことです。
敢えていうなら、「フライパンと私の相性が良くなってきた」としかいいようがありませんが、実は、そんなことって、生活をしていると様々なところである様な気がします。

近年は、いろいろなことがデータ化され、分析的に見る機会が多くなってきました。
もちろん、こうした見方は私も大好きなのですが、その一方で、「よく分からないけれど、何となく…」という感覚も大切にしろよと、中華鍋が教えてくれた様に思うのです。

二千年もの歴史あるものの言葉には、相当な重みがあります。
もちろん、鍋自体も鉄製なのでなかなかの重量があります。




後片付けも楽しいのが中華鍋の魅力


中華鍋に限った話ですが、中華鍋は洗剤で洗いません。
その代わりに豪快にササラで洗います。
ちょっと乱暴で豪快な感じが、職人さんに近い様な気がして楽しいものです。

そして洗い終わった中華鍋はすぐに火に掛け、水分が飛んだら油を塗っておきます。
ちょっと手間がかかりますが、「鍋を育てる」という言葉の意味が深く味わえる瞬間でもあります。


<パラパラの炒飯を作るコツ>


一般的なフライパンでも中華鍋でも同じです。

①炊飯が大事
ご飯を炊くときに、通常の水分量の8割の量で炊く。
(例)五合のお米を四合の水分量で炊く。
炊き上がると固そうに見えますが、炒飯にするとちょうどいい感じに。
かなりパラパラになります。

②温かいご飯を使う
冷やご飯を使うとフライパンの温度が一気に下がります。
炒める直前まで保温されていたご飯か、温めたご飯を使おう。

③卵が多いほど炒めやすい
炒飯がパラパラになるのは、卵がご飯をコーティングするためです。
その為、卵は多めにすると綺麗に仕上がりやすいです。


炒飯を作るためにわざわざ炒飯用に炊飯する…手間が少しかかりますが、確実に出来が変わります。
ぜひ、チャンレジしてみてください。



京都府宇治市 渋谷浩一郎
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