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SAiN

2024/03/28

【施主様からの特別寄稿:Featuring SAiN80】本当のソーラーパワー 〜今あるものを素直に使う〜

「今年の冬は暖冬だったなぁ」

確かに、そう言われる機会が多かった冬ですが、それでも「寒いものは寒い。」何度もこんなことを思ったものです。そうした厳しい時期が過ぎ、三月に入ると、まさに「三寒四温」の言葉通り、暖かく感じられる日が増え、心地いい日差しの日も増えてきたように感じます。

寒い冬を過ごしたからこそ、この冬の終わりから春にかけての陽射しが、より有り難く感じられるのは、私だけではないと思います。

最近は、天気予報を見て、「明日は陽射しが感じられるでしょう」と書かれていると、次の日をいつも以上に楽しみに待つ日々を過ごしています。

陽射しを楽しみにする理由

これほど陽射しを楽しみになった理由は、意外にも、「長男が家を出て一人暮らしの学生になったこと」が原因です。

もともと、幼い頃から自分用のフライパンを持ち、「包丁はどんなものがいいだろう?」なんて考えるのが好きだった性格なので、一人暮らしをしても、きちんと自炊をするだとう…と安心をしていました。
ところが、実際に家を離れ、日が経つと、
「まともなものを食べているだろうか?」
なんて、余計な心配をしてしまうのです。
近所の方からいただいた野菜なんかも、「これらを送ってやれればいいのになぁ」と何度も思ったものです。

そんな時に、近所の方との雑談で、「干し椎茸」が話題になり、「これだ!」と思ったのが、陽射しを楽しみに待つきっかけとなったのです。

野菜を干せば、日持ちし、コンパクトになる


幸いにして、近くのスーパーでは、形の悪い椎茸が安価でよく売られています。
天気の良さそうな日が近づくと、これを購入して、干す準備をします。

陽射しにあてて干すと、見た目も味も、ぎゅっと凝縮されます。


写真の通り、こんなにコンパクトになり、日持ちもするので、長男に送るにしても全く問題ないということです。
ちょっとしたことですが、こんなことに気付いてからというもの、干し野菜にどっぷりとはまって、ここ半年程度、楽しんでいるのです。

見た目が悪くなるが、味は濃厚に


最初は、椎茸だけを干していましたが、今では、
・大根
・ごぼう
・にんじん
・しめじ
など、季節によって変わりますが、いろいろなものを干しています。
ただ、最初は、思った以上に小さくなってしまうために、「コンパクトにしたいくせに、コンパクトになると損をした気分」を何度も味わったものです。

ところが、干し野菜を使ってお味噌汁を作ると、毎回、「損をした」という感覚が吹き飛ばされます。
私の場合は、とくに「ごぼうの香り」の濃厚さにいつも感激しています。

いつも感激する、干したごぼうの濃厚な香り。


そして、干し野菜は、味だけではなく、多くの時間を私たちに与えてくれているようにも感じるようになってきました。

干し野菜が多くの時間を作ってくれる


今は、まだまだ陽射しが弱いので、少量しか干していませんが、五月の連休ごろには、たくさんの野菜を干そうと思っています。

もちろん、野菜を干すために、カットしてネットに入れたり、ザルに入れたりしないといけませんが、この時にたくさんの野菜を切ることになるので、日々、お味噌汁などを作る際に、わざわざカットする必要がありません。

毎朝、鍋に昆布・好きな干し野菜を放り込んでおくだけで、夕飯時には、十分な出汁が出ていますから、加熱をして味噌を入れるだけで、おいしくいただけるのです。

今は、少しばかり、干しキャベツも準備していますが、炒め物をする際に、わざわざカットする必要ない上に、あっという間に火が通ります。
おまけに、水っぽさがなく、濃厚な味を楽しむことができるので、夕飯の準備に時間がかかるといった感覚がないのです。

手間をかけると、省ける時間も生まれます。



今、あるものを素直に使う。


こんなことを体感すると、改めて「太陽っていいなぁ」としみじみと感じます。
ところが、現代の私たちは、こうした良さを、より複雑な使い方をしようと、努力している様にも感じます。

例えば、太陽と言えば、ソーラー発電をイメージする方も多いですが、電気の力で、干し野菜を作ろうとすると、大変です。

「太陽光→ソーラーパネル→電気→熱」この様な過程を踏まないといけないので非常に複雑です。


現在の優れた技術でも、太陽光のもっているエネルギーの五分の一程度しか、電気エネルギーに変換することができません。
つまり、天日干しで、干し野菜を作るのに「百の太陽光」が必要なのに対し、近年の技術を用いると「五百の太陽光」が必要になるということです。

当然、こうした新しい技術の恩恵というものもたくさんありますが、「今あるものを素直に使う」という視点も持ち合わせておきたいなぁと思うのです。

ただ、昨年の猛暑の日に、「これは干し野菜の大チャンス!」と思って、ネギを干したのは失敗でした。
長時間天日に当て過ぎたのか、それとも、急激過ぎる温度変化が良くなかったのか、ネギはボロボロになってしまいました。

今年の夏は、こうしたことにも注意しながら、太陽の恵を欲張らずに受け取りたいと思います。


京都府宇治市 渋谷浩一郎
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