2020.04.13
2020年4月12日現在、残念ながらコロナウィルスの威力は治っていません。
様々なところで、自粛ムードが高まり、公共機関が運営するテニスコートの貸し出しも禁止となってしまいました。
京都では、学校も休校期間が延長となってしまいました。
こんな時につまらないなぁ…という点を見つけるのは簡単ですが、嬉しいことも案外あるものです。
山椒の木は、「なかなか根がつかない」と言われます。
ですから、昨年の夏に庭に植えた山椒の木が無事に冬を越すことができるのか?という心配がありました。
ところが、3月末から4月にかけて新しい芽をつけはじめ、日に日に力強さが感じられるようになってきました。
夕飯前には、庭に出て、木の芽をいくつか摘んで、春の香りを楽しむ日々が続いています。
山椒の葉が大好きな私は、夕飯の時に何にでも葉を散らして香りを楽しんでいます。
ただ、割とたくさんの量を散らしていますから、手で山椒の葉を叩くことはせずにいただいていました。
「やっぱりパチンってした方が香りがいいんじゃない?」
先日、息子にこんな指摘を受けましたが、山椒の葉を叩くのは習慣的に行ってきただけで、本当に意味ある行動なのかはよく分かりません。
そこで、
山椒の葉を「叩いた時の香り」と「叩いていない時の香り」を比較してみました。
確かに叩いた時の方が香りが強いような気がします。
料理人の知人にその理由を尋ねてみたところ、「叩くことで葉の細胞が壊れるために香りが広がりやすい」ということでした。
昔の人は、山椒の葉を叩くと細胞が壊れるなんていう認識はなかったと思います。
ただ、経験的に「叩いた方が香りが良い」と感じて、その習慣が広まっていったのだと思います。
大根おろしやわさびなんかも、細胞を壊すことで辛味が増します。
つまり、私たちは、壊した方がいいものは敢えて壊し、壊してはいけないものは懸命に守りながら生きてきた様に思います。
こうした見方をすると、「同じもの」であっても「質が違う」ということに気付けるようになると思うのです。
例えば「ハマチ」と言えば、美味しいお刺身を想像する人が多いと思いますが、個々のハマチによって味が全く異なるという見方も忘れたくありません。
たかが、山椒の葉を叩くか、叩かないか…の違いですが、ふとこんなことを思ったのです。
京都府宇治市
渋谷浩一郎