昨年の10月27日、兵庫県三木市のE-ディフェンスにおいて、2棟の木造3階建て住宅を同時に揺らして、性能を比較検証する実験が行われました。一方は長期優良住宅の認定基準である耐震等級2を満たした試験棟1、もう一方は柱頭、柱脚の接合部の性能を不十分にした試験棟2です。2棟を並べ震度6強の振動を同時に加振、1分足らずの加振の後、倒壊したのはなんと計算上基準を満たした試験棟1の方だったのです。この出来事は2009年11月5日付の日本住宅新聞の一面に大々的に報じられ、業界に波紋を呼びました。
建築のプロ中のプロの皆様方が研究し計算された構造体が倒壊することは、一般的には考えられませんが、私はこの問題は今後の日本の住宅造りに一つの警告を天が投げかけたような気がしてなりません。この倒壊の問題で考えられる原因はいくつかあると思いますが、私なりに導き出した原因が以下の三点です。ただしあくまでも私の私見によるものです。
(1)木造住宅の構造計算に鉄筋コンクリートや鉄骨造の構造計算基準を用いたのではないか。
これは大きな間違いです。生きている木材には鉄筋コンクリートや鉄骨以上にしなりや急激な加圧に対しての復元力がありますので、継手部分を強く締めすぎたとしても破壊することはないと考えられます。例えばこの実験に使用された構造材が一般市場に出ている高温乾燥材(KD材)とすれば、このような結果も十分想定されます。KD材は乾燥過程において、木材の大切な繊維が裁断され、生気を失った木材となり、一番重要なしなりが無くなっているからです。本当の意味で頑丈な建物を建てるためには、木材のしなりは欠かせない存在なのです。
(2)日本中に建築に関する大学や専門学校は数多くありますが、木造住宅を専門で研究、勉強されている教室は少ない。
日本の伝統文化、技術が集約された木造住宅を研究する機関が少ないのは、読者の皆様も驚かれることでしょう。本物の木造を知らず、鉄筋コンクリート造、鉄骨造のことだけ学び勉強された方々の知識の中で、木造住宅が考えられている所に大きな問題があるのではないでしょうか。
(3)日本の木造建築には、千年以上も前に建造された建物が数多く残っています。民家でも二百年、三百年の建物が全国にはいくつも存在しています。過去に大きな地震を何度も経験している建物ばかりなのに、何故倒壊せずに残っているのだろうか。
近年の日本の木造住宅は寿命が短いと言われていますが、この問題は全く木造のことを知らない人たちが騒いでいる話です。確かに木造でも構造材が細い建物は寿命が短く、強度も強くありません。これは当たり前です。デザインや見た目に囚われて一番大切な構造材のことを忘れてしまっている気がします。日本の建築家の皆様も歴史を振り返り、先人達の知恵と経験を学ぶことを忘れてしまっていないでしょうか。
法律は我々国民の生命財産を守るべきものだと私は解釈しております。我々の生命を守るべき住宅の倒壊!これを機会に法を作る人達に生命の大切さと尊厳を再考していただきたいと強く願うのは私だけでしょうか・・・。
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